外断熱の注文住宅を建てる建築会社2代目の頭の中

住み心地とか、住む人の健康とか、家族の安心安全とか、大きな資産とか、喜び感謝クレームとか、様々に満ちている業界で色々と考えています。地域のため、日本のため、世界のため、御施主様のため、社員さん職方さん業者さん大工さんのため、自分だけにしかできない事がどんどん増えていく毎日は刺激的です。

外断熱で建てるコンパクト1LDKの賃貸アパート


前回は外断熱の賃貸併用住宅の触り部分でした。
今回は黒柳建設が設計する賃貸併用住宅の基本的な考えについて語ります。長くなりそうですので、本日はコンパクト1LDKの間取りについてです。

 

間取りはコンパクトな1LDKであること。

そして建物は外断熱であること。


この2点を中心に賃貸アパート部分はプランを始めます。
なお、黒柳建設は東京都小金井市工務店ですので、建設地が首都圏、それも東京エリアであることが前提です。それ以外は経験が無いことを最初にお断りしておきます。

 

コンパクト1LDKとは?その定義

まず、コンパクトな1LDK、これをコンパクト1LDKと呼んでいますが、コンパクト1LDKの定義とは以下の3点です。

 

①10坪前後の広さで1LDKの機能と間取りを備えるもの

②2人で生活することを前提としているもの

③ターゲットは2人暮らしの社会人

 


通常の1LDKや2DKは12坪(約40㎡)くらいが標準とされています。いわゆる公団の間取りです。
しかし大都市東京では、土地の価格が全てに優先されるほど高いため、間取りの工夫を凝りに凝らして面積を節約します。
なぜなら面積を広く取ると、どうしても部屋当たりの家賃を高額にせざるを得なくなり、借り手を狭めてしまうからです。都内で2人暮らし向けの賃貸だとワンルーム二部屋借りるのと変わりなかったりするので、そのボリュームから少しずらした競合の少ない層を狙います。

昨今の同棲実態調査によると、同棲の理由として一時も離れたくないというアツアツラブラブ以外にも、家賃がもったい無いとか、生活費節約のためといった経済的な側面も多く挙げられています。おのれリア充爆発しろ。
しかし、6~8坪程度のワンルームで2人暮らしはどうしても狭いです。学生時代のような四六時中引っ付いていてもまだくっつき足りない、時間が無限にあるようなカップルなら良いでしょうが、社会人ともなるとそれぞれの生活リズムがあります。
また婚前の同棲には、新婚生活のお試し期間という役割もあり、昔に比べて抵抗感が少なくなって来ています。事実、HOMESによる最新の実態調査では、同棲から結婚に至ったカップルの多くは同棲をして良かったと答えています。リア充滅するべし、慈悲は無い。

 

2人で住む入居者のことを考えた間取り

そこで間取りはコンパクトでも1LDKでなくてはいけません。それも、それぞれがリビング・ダイニング・キッチンとして使えなければ意味がありません。

よく10畳ほどの四角い部屋にキッチンを据えて、ほらここがLDKですよ、としている間取りがありますが、あれではダメです。
リビングにはテレビ台とソファーセットと最近ではPCスペース、ダイニングには4脚のテーブルセット、キッチンは2人で料理しても邪魔にならない導線、これらの配置が最低限必要です。
これらにもきちんとした理由があります。話を聞けば、何だそんなことと思われますが、そこまできちんと考えている部屋は滅多にありません。だからこそ差別化に繋がるのです。

 

LDKは広さではなく機能

まず大きな誤解なのですが、LDKというのは居間(L)・食堂(D)・台所(K)を一部屋で済ます、という部屋ではありません。この3つの機能を持った部屋のことをLDKと呼ぶのです。ですから当然、食事用のテーブルとくつろぐためのソファーは別として配置が考えてなければいけません。

そしてテーブルセットは4脚、これは若いカップルなら必ずお互いの友人を新居に招く、と考えているからです。その時に座れるスペースがなければ招けません。椅子が4脚なければちゃぶ台に座布団でも構いません、とにかく場所が無いとダメなのです。
ソファーは広々180センチ置けることが必須です。これはケンカした際に男が寝室から追い出されて寝るためです。何を馬鹿なことを、と思われるでしょうが意外と理に適っているのです。

 

喧嘩する2人、仲直りする2人

仲の良い時はイチャコラしてても若い2人はケンカします。そうなると少し距離を置いて頭を冷やさなければならないのですが、その時には男性が寝室から追い出されるか、もしくは女性側が寝室に籠城します。


そうすると男性はLDKで寝るわけですが、これが狭いキッチンやダイニングの床に毛布を敷いて寝るのと、180センチあるソファーで手足を伸ばして寝るのでは雲泥の差です。暑い寒いそして固いキッチンの床では男性側に惨めな気持ちが芽生えてきて、ケンカの苛立ちにさらに燃料が投下されて頭が冷えません。女性にも申し訳なさが生まれ、自分からうまく謝れません。

ケンカしてお互いに腹を立てていても、一緒に暮らしている2人ですから一晩快適にグッスリ眠れば自然と仲直りできるようになります。そのためのスペースはかなり重要です。

一緒に暮らしていてもそれぞれ別のこと、例えばテレビを見ている横で本を読んでいたり、料理をしている後ろでパソコンで今度の旅行の下調べをしていたりと、同じ部屋にいながらちょうど良い距離感で過ごすことができます。
これって大人の2人にはとても重要なことなんです。

四六時中引っ付いているのではなく、同じ部屋にいながらお互いを感じることができる距離感を作ることができる間取りであるか、これが2人暮らしが上手くいく秘訣であり、そんな2人が長く住んでもらえるアパートの部屋作り、それがコンパクト1LDKの間取りに隠された意図です。

 

その部屋にオーナーさんは住みたいの?

最近は相続税対策などでアパートや賃貸併用住宅を検討する、または建てる方が増えました。

しかし、その内容のほとんどはサブリースによる家賃保証をアテにしており、その部屋に住む人のことはほとんど考えられていません。業者が建てやすいように、お施主さんに分かりやすいように、デザインされています。
それが上手くいくのかどうかはやってみなければ分かりませんし、私も論じる立場にいません。

ですが、黒柳建設がそういったアパートと違うところに、築10年、15年、20年のコンパクト1LDKのアパートや賃貸併用住宅の実績があり、そのどの建物も実際にご案内することが可能だということです。
驚くほど高収入を得て、大家業が大成功して、入居率も利回りも大台超えで、といった超スゴイアパートではありませんが、皆様それなりに良い家賃で、それなりに良い入居率で、それなりに属性の良い入居者さんで、それなりにメンテ費用を掛けて、そしてそれなりに収入を得ていらっしゃいます。

これらのオーナー様に共通することとして、自分のアパートなら住んでもいい、むしろ若い時分だったらこういう部屋に住みたかった、将来夫婦2人になった時は検討してもいいかも、と思ってらっしゃることです。

「自分で住むのはゴメンこうむるけど、人に貸す部屋だからいいや」

「オレだったら借りないけど、誰か借りるだろ」

とは思っていません。そこが大きな違いです。

オーナー自身ですら住みたいと思わないアパートを一体誰がお金を出して住みたいと思うのでしょうか?相続対策や資産運用、不動産投資だけでアパート経営を始められるのであれば、図面を一度じっくりと眺めて自問自答してみてください。

(むしろそういうアパートが多いからこそ、コンパクト1LDKの良さが活きるんですけど)

 

そういったオーナー様でよければどんどんご案内致しますので、ご希望の方はどうぞご連絡下さい。また、賃貸併用住宅のセミナーもどうぞよろしくお願い致します。

次回は、賃貸併用住宅・アパートはなぜ外断熱工法が良いのか、についてです。