国策をフォローする工務店の立場で感じること④
11月から雪が降るなんて、今冬の空模様が心配です。やだなぁ、雪やだなぁ。
現場の実務者としての実感
2009年に長期優良住宅の普及促進事業を経験してから、毎年のように何かしらの国策事業の対応をしてきました。そうするとなんとなく慣れのような感覚ができてきて、自分なりに抑えるべきポイントを見いだせた気がしています。今回はそんな勘どころの話と実感を、これまでの経験から述べたいと思います。※これらは私がこれまで携わってきたり、様々なセミナーに参加して感じたことですから、一般的な見解や本来の狙いとは異なっているかもしれません。現場のナマの声ということでご了承ください。また情報の真偽も曖昧な思い込みによって構成されています。話半分程度にとどめて置いて下さい。管轄はどこ?
まず、新しい事業の情報をキャッチした場合、どの省庁の管轄かをチェックはします。なぜかは調べていませんが、各種事業は民間の執行団体を公募し、そちらに実務を任せるというやり方を取っています。中の人も、各省庁からの出向と、メーカーなどからの人的支援(人身御供??)でできているようで、つまりは内輪で廻している模様です。伝え聞いた話なので、本当かどうかは存じませんが。一応、名目上は公募を掛けないといけないことになっているのかな、と理解しています。そこに「ずるい」とか「天下りが」などと野暮を言うつもりもありません。誰かが事務作業をしなければいけないことなので、そこの公正さにこだわると事業自体が立ちいかなくなってしまうと思いますので。新規、それとも継続?
次にその事業が前年度からの継続事業なのか、全くの新規事業なのかを見ます。今のところ継続している事業は国土交通省の長期優良住宅普及促進事業と経済産業省のZEH支援事業です。住宅エコポイントは3年ほど続いたのですが、林野庁の木材利用ポイントへ継承されそちらは単年度で終わってしまいました。新規事業の場合、公募期間が短かったり予算が少なかったりして、ある程度ゴールが見えていたりと、全然使えもしないことが多いです。先導的モデル事業なんかがこのパターンです。恐らく初年度は様子見の意味合いもあるせいだと思います。そんなん、前もって知ってないと使えないやん!
恐らく、長期優良住宅の先導モデル事業もそんな感じだったのでしょう。使われなかったら意味ないですしね。継続事業の場合でも前年度から微妙に変更が加えられていることがあるので、そこいらも細かく調べます。去年と一緒だろうとタカをくくっていたら、着工時期の定義が変わっていて危うく対象外になってしまうところだった年がありました。書類の書式は?
最後に提出書類の書式を確認します。締め切りや別途添付する建築確認関係の書類の有無も要領に書かれているので、その傾向もだんだんわかってきました。環境省は独自の基準を作るつもりは無さそうで、既存の基準や認定制度をそのまま使えるようでしたが詳細は調べていません。これは長期優良住宅や低炭素住宅の認定を取っても意味がありません。すると認定書や適合書を持ってこれを証明することができず、申請書類に全部記入しなければなりません。住宅業界へ参入する省庁
建設土木系から、運輸、国土、観光、気象、海洋、河川、港湾、住宅と国のインフラを一手に担う大型省庁で省庁の中でも技官(理系技術職)がトップになれる省です。土木・建築系の大学では国家公務員と言えば国土交通省かその外局に入ることを指すくらいです。経済産業省はエネルギーの分野から住宅業界に入り込んで来ています。外局に資源エネルギー庁を持ち、増加の一途を辿る家庭の消費エネルギーを削減すべくZEHや燃料電池、太陽光発電、蓄電池の住宅への普及を進めています。各省庁の垣根を越えて行政一丸となってくれると非常にありがたいのですが、なかなかまだまだそうはいかなようです。省庁違えば文化も違う
それが顕著に現れるのが、やり方の違いです。地方行政でもこういった事業は環境課、再生可能エネルギー課など、ほとんど馴染みがないお役所です。お互いに初めてなので初手から上手く噛み合いません。公募の仕方、公募要領の書式、事業者登録の方法、申請書類の書き方、ファイリングの仕方、事業執行団体の選び方、全てに統一性がありません。それは仕方のないことなのはよくよく分かります。ですから初めて相手にする行政庁の事業の場合、要綱を読み込むのがなかなか大変です。書類を作成するのはもっともっと大変です。そして一回やったら次年度まで完全に忘れ去ります(笑)書類作成は一夜漬け
自分の場合実際は一晩かけるわけではありませんが、申請書類のたぐいはギリギリまで手を付けず、必要な情報や書類が揃ってから一気に仕上げてしまうことがほとんどです。ちょっとづつ手を付けて進めていくと、記憶があやふやになり、確認のため余計に時間が掛かってしまいます。これは毎年の定型的な作業ではなく、毎年毎年どこかしらが異なっているため、毎回毎回それを覚えるのは返って不合理だからです。時間を用意して、要項を片手に、集中して書類に取り組みます。もちろんそこまでに、確認済証や認定書などを手元に揃えておくなどして、準備する必要がありますが。過去に4棟ほど長期優良住宅の補助金事業を実施した時は、並行して一気に4棟分の書類を作成しました。ただ、ちょっと書類4式は多かったみたいで、並行だと取り違えそうになりましたので、直列で行った方が良かったですね。これは、個人的な感想なので、他の人に当てはまるとは限りませんが。さて、本年も長期優良住宅のグリーン化事業の実績報告が控えています。締め切りがちょっと先なので、今回は事前に全部手を付けてしまおうかと思っています。