外断熱の注文住宅を建てる建築会社2代目の頭の中

住み心地とか、住む人の健康とか、家族の安心安全とか、大きな資産とか、喜び感謝クレームとか、様々に満ちている業界で色々と考えています。地域のため、日本のため、世界のため、御施主様のため、社員さん職方さん業者さん大工さんのため、自分だけにしかできない事がどんどん増えていく毎日は刺激的です。

既存客様との関係を苦手分野の恋愛に敢えて例えてみる

リフォームを事業の柱にすべく育てています。数年かけてようやく人並みの件数になりましたが、最近少し頭打ちです。

 

「OBのお客様宅にメンテで行ったら、自分の知らない住宅設備が付いていてガックリきた」のは工務店よくあるネタの中でも、最上級に心にダメージを喰らいます。建てっぱなし売りっぱなしなら心が鈍感になるので耐性ができますが、アフターフォローを頑張っている身としては地味に堪えます。

こんにちは、東京都小金井市で外断熱・涼温な家を建てる工務店、黒柳建設の国策担当/WEB担当/システム管理者/営業/現場監督/アフターメンテナンス/OB顧客様係の黒柳一聡です。

 
 

いつでも声を掛けてもらえる距離 

近年、黒柳建設は既存OB客様のメンテナンスとリフォームをしっかりフォローすべく、ニュースレターの発刊や節目点検を通してメンテナンスの支援やリフォーム需要の喚起に取り組んでいます。
あまり古いお客様だと「何を今更」と思われてしまいそうなので、あまりがっついた態度を控え、いつでも声を掛けて貰える距離にいようと心がけています。
実際、節目点検ではいきなり始めたにもかかわらず、割りと好意的な印象を受けています。
 
 
地域工務店の悩み 
先日、とある工務店仲間と話す機会があり、興味深い話を聞きました。
 
その工務店主催の地域感謝デーでしょっちゅう顔を合わせているのに、ちょっとしたことで訪問するとつい先日他社で改装をしたばかりだった、ということがあったと話してくれました。
 
「ウチが何をやっているかなんて、全然気にもしていなかったんだな~」とちょっと寂しそうでした。
 
地元生まれで地元育ち、毎年地域感謝祭イベントを行なっていて、クロケンが手本にしたい地域の工務店のモデルのような方なのに、ちょっと意外でした。
 
意外といえば、既存OB客様の認識もです。
 
 
 
 

Q、黒柳建設は新築専門?

A、いえ、メンテナンスとリフォームもお任せ下さい

私たちもよく感じるのですが、OB顧客様には黒柳建設は家を建てる工務店で、メンテナンスやリフォームはまた別の会社にお願いしなければならないと思い込んでいる方が多くいらっしゃいます。
 
今までの既存顧客様に対する対応の結果と言われればそれまでなのですが、まずはそういった認識を改めていただくよう働きかけなければ、既存顧客様からのメンテナンス・リフォーム受注は望めません。
一度そういった認識がされてしまうと、なかなか覆すことは困難です。
 
そうした場合、我々のあずかり知らないところで、構造躯体・断熱気密に悪影響を及ぼすリフォーム工事をされてしまう恐れがあります。
 
遭遇したことはありませんが、悪徳リフォーム業者もまだまだ生息しています。
 
お客様から目撃情報は頂くのですが、直接対決はしたことありません。
(別の工務店社長はガチバトルで追い払った武勇伝が、それも2回も)
 
 
 

データが示すメンテナンスとリフォームの実態

とあるリフォーム業支援会社の統計では、だいたい家一軒のリフォームの平均需要は1500万円、既存顧客様1人に対し年間平均10万円ほどの需要が生じているというデータがあります。
 
ですが別なアンケート結果では、建てた会社にリフォームを頼まないという層は4割を超えており、2つの対策が必要なことがわかります。
 
 
 
1つ目は、工事をした既存顧客様に対してしっかりとアフターフォローを行い、リピーターになって頂いて他社への流出を防ぐこと。
 
2つ目は、他社の既存客ではあるが、もうそこには頼みたくない浮動層にアプローチし、自社の顧客としてしまうこと。
 
 
※あと、他社で建てたはいいが、建てた会社がなくなってしまい、メンテナンスやリフォームに困っている無党派層もいらっしゃいます。実際、某外断熱工法で建てた方から涼温換気リフォームを依頼されたこともありました。
 
 
ここまで考えをまとめていたところで、他業界に類似するものがあることに気づきました。
 
そう、ケータイ市場と同じです。
 
 
仁義なき顧客の奪い合い
以前はケータイ番号とメールアドレスがキャリア(携帯事業者)固定だったので、その番号とアドレスを使い続けるためという消極的な理由で他社への流出を防ぐことができました。
 
しかし数年前のナンバーポータビリティ制度と、スマホによるWebメールの利用、コミニュケーション手段の多様化で、ユーザがキャリアに依存する理由がなくなり、頻繁な乗り換えが生じています。最近の若いモンの間ではLINEのI.D.だけしか知らない間柄の友人もいるというから驚きです。
 
そういう人たちは格安スマホ格安SIM(MVNO)へ流れます。無視できないとはいえ、まだ少数派です。
 
 
浮気・寝取られ・復縁・一途・2台め・用途別・なんでもあり?
ケータイキャリア各社は自社のユーザをポイントや長期割引などで囲い込み、他社からの乗り換えキャンペーン、さらに既に他社へ乗り換えてしまった(浮気されてしまった)過去の既存客に対しても復縁を勧めるキャンペーンを実施しています。
 
いまや一人が一台以上ケータイを持っていますので、まったくサラの一台目の人は本当に珍しいです。
最初のケータイを最初のプランでずっと使い続ける人、学割や家族割で一番お得に使う人、仕事用とプライベートを使い分ける人、電話用とネット用を区別する人、キャリアではなく端末で選ぶ人、使い方も事情も人それぞれです。
 
 
もう男女の恋愛と一緒じゃん、これ
 
例え遊びですが、これまでのケータイ歴を元カレ/元カノ風に語る、という遊びがあって、これがなかなか面白いです。
 
 
他にも構造が似ている業種はありそうです。
 
そう、例えば、電力自由化も携帯に似ていますね。
携帯、通信、エネルギー、そして住宅。どれもインフラの自由化がもたらす新たな市場です。
ここにもヒントがありそうなので、今度じっくり調べて探ってみたいと思います。
 
 
お客様との関係づくりが恋愛と酷似しているのなら・・・・・自分にはハードルがぐぐっと高くなってしまいますが。
 
 

大手の戦略を分析すると・・・

 
住宅業界に当てはめると、大手ハウスメーカーはやはりしっかりと既存顧客様に対する囲い込みを行なっています。
ここはしっかりと分析して、学ばせてもらいます。
 
 
保証期間の延長サービス
通常は10年の瑕疵保証を条件付きで最長で30年まで延長して所有者に安心感を与える代わりに、10年ごとに指定されたメンテナンスや改装工事を行わなければいけません。
 
敢えて言い方を変えると「リフォームしなければ、保証を打ち切るよ」とソフトにプレッシャーをかけて、お施主様に「そろそろリフォームをしなきゃいけない」と思わせているのです。
 
これはカラクリだけを聞けばとてもうまいやり方なのですが、一度手に入れた最長30年保証を手放すのはとても勇気がいることです。
 
  • もしかしたら将来問題が起きるかもしれない、そのための保険として保証は維持したいのが普通です。
  • ましてや住宅のことなど何も知らない一般のユーザでは、保証を切られるというのは結構な恐怖感を煽ります。
  • なおかつメンテナンス工事を行えば当然見た目も良くなるわけなので、工事に対する満足感も得られます。
  • だったらいつかはやらなきゃいけないんだし、しょうがないかなという「まあいっか」的な動機でリフォーム工事に踏み切るわけです。
 
それは大手だからできるんだよ、という声が上がりそうですが10年ごとに2回の大規模なメンテナンス工事を行っていれば、30年くらいで問題が生じるようなつくりはしていません。
 
そういった保証とメンテナンス工事受注を組み合わせた仕組み作りも1つの手ではあります。
 
ですが根が貧乏性なのか、10年ごとではちょっと早くて勿体無い気がしてなかなか踏み切れないのが現状です。あと単純に大手ほどの信頼がありませんので、保証に説得力が乏しいかもしれません。ぐぬぬ
 
 
先ほどの恋愛に例えると、オラオラ系の色恋みたいです。
関係が長引くと「別にお前だけじゃないし」「いつでも終わらせていいんだよ」みたいなこと言ってくる感じです。
 
ハタから見てると結構アレなんですが、なぜかこういった男女がモテるという不条理。
 
 
 

言われればクレーム、言えば保守

ですが、見方を変えることでピンチをチャンスに、クレームを信頼向上に、受けから攻めに転じることが可能です。
 
例えば雨漏りのメンテや直しにしても、お客様から言われればクレームでこちらからお声掛けすれば保守となり、同じ工事内容・金額でもお施主様の受け取り方は180度違います。
 
 
 
「いざという時に頼れる地域の工務店」ポジションが最強か
どちらが正しくて、どちらがお施主様のためになるのかはまだ悩み中ですが、現状はしっかりとメンテナンスの支援と、リフォーム需要を頂ける距離感の維持に努めています。
 
恋愛で言うならば、地元の幼なじみポジションでしょうか。
 
短期的には需要は少ないですが、長期スパンで考えるとこれが細く長く続くことが求められる工務店にはピッタリでしょうか。
 
 
 
 
地元の幼なじみかぁ、男しかいないし、みんな地元を出て行ったなぁ。