長期優良住宅から始まった躍進[中編]
2016年は黒柳建設も首都圏多摩エリアも、景気の良い話はほとんど聞かない一年でした。
オリンピック景気などと呼ばれて久しいですが、地場の工務店には材料の値上がりという悪影響しか及ぼしません。なぜだ。
住活協グループへの加盟
1棟目の長期優良住宅から3年、国土交通省の普及促進事業が一旦終了しました。黒柳建設は地域の建材商社である㈱コバヤシの主催する一般社団法人全国住宅産業活性化協議会「首都圏住まいを創る会」へ加盟することとなりました。名前、長いよ。そして、そこで毎年のように補助金枠を獲得する常連会社になりました。補助金荒らしと呼んで下さい。(ちょっと採り過ぎかと心配したのですが、補助金の枠を消化することもグループ全体としては必要なのです)今だから言えますが、当初は長期優良住宅の補助金をもらうためだけに、仕方なく参加していたというのがホントのトコロです。そんな気持ちが無かったと言ったら、嘘になります。実は付き合いの悪いことで有名でした
これまでは黒柳建設単独で国へ補助金の申請をしていたのですが、グループを組むことでグループ全体での枠の制限がかかるようになりました。これにより、補助金獲得のペースは落ちていくのですが、グループ内でも毎年毎年長期優良住宅や低炭素住宅の認定を取得する工務店は他にはいなかったため、棟数や規模は小さいながらも一目置かれる存在となり、グループでの部会や研究会に頻繁に声が掛かることとなります。これまではお施主様とだけ向き合っていたいという思いから、こういった場への参加は極力避けていたのですが、長期優良住宅を始めてからは貴重な情報収集の機会だと捉えて積極的に参加しています。それまでは誘っても絶対に参加しない黒柳建設が、今では真っ先に参加する皆勤賞になって、過去を知る営業の人には信じられないと今でも言われます。多分、当初のホンネは見抜かれていたのでしょう。ちょくちょくおだてられて乗せられて、すっかりその気になってしまいました。やっぱり褒められると嬉しいですから。でもまあ、お施主様にとっては良いことでしたから、乗せられて付き合いが良くなったのは、今にして思えば良かったです。それまでは、本当に付き合いが悪かったのです。反省。こうして当初は不承不承だった「首都圏住まいを創る会」への加盟が、気がついたら各部会・研究会に積極的に参加することになり、ここでも大きな転換期を迎えることになりました。国策を理解し活用する工務店へ
2009年に長期優良住宅の家づくりを開始し、これまでに様々な国策の補助金や助成制度を活用してきました。長期優良住宅を始めたばかりの頃には考えもつかなかったことです。長期優良住宅の普及促進事業、地域型住宅ブランド化事業とグリーン化事業、住宅エコポイント、木材利用ポイント、既存住宅流通活性化事業、燃料電池(エネファーム)普及助成金、太陽光発電やエコキュートの補助金もありました。また、準備を既に済ませてお客様が利用してくれるのを待っているものとして、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業、省エネ省CO2賃貸住宅に関する事業、住宅ストック循環支援事業、各種リフォーム助成制度などがあります。現在、築5年と築10年の方を中心に節目点検に回っているのですが、築10年のお施主様はそうなる前の黒柳建設しか知らないので、人によっては大変びっくりされます。いえ、別に御乱心したとかではありません。ちょっと新しいことに目覚めたのです。しかし、目覚めたがための悩みも抱えることになりました。先ほど並べた国策の様々な制度ですが、理解し活用しようとすればするほど、お客様ありきの注文住宅では、使い勝手の悪さが目立つようになりました。これらをメニューに並べてお客様を待ってはいるのですが、こればかりはタイミングが合わないと利用できません。特にZEH関係に関しては、お客様側に太陽光発電に拒否感がある場合が多く、実施に結びつきません。これは憶測なのですが、ZEHはハウスメーカーの規格型住宅であるイメージが強く、それが嫌で注文住宅で自由な間取りを建てたいのに、なんで太陽光を載せなければいけないんだ、という想いがあるのかもしれません。その点長期優良住宅や認定低炭素住宅は、建物の性能をアップさせるだけなので反発せず受入れて貰えるのでしょう。日々新しいことにチャレンジをして、年を追うごとに進化していくと良いことも悪いこともたくさんあります。でもこうして振り返ってみると、ほんの数年でも大きく変化していることがわかります。「お客様のために、お客様が望む、お客様が幸せに暮らせる」そんな家が建てたい気持ちは、ずっと変わりません。そこに新しいバリエーションが加わったことは、素直に喜ばしいです。次回は断熱建築の本場、ドイツ視察が変えた私達の視点のお話しです。もう4年ほど前になりますが、大変刺激を受けた海外視察でした。