読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

外断熱の注文住宅を建てる建築会社2代目の頭の中

住み心地とか、住む人の健康とか、家族の安心安全とか、大きな資産とか、喜び感謝クレームとか、様々に満ちている業界で色々と考えています。地域のため、日本のため、世界のため、御施主様のため、社員さん職方さん業者さん大工さんのため、自分だけにしかできない事がどんどん増えていく毎日は刺激的です。

住宅ストック循環支援事業と空間ストック活用型住宅構想②

ストックとフローなんて言葉は、よく経営の本に出てきますね。

フロー型の流れていく商売よりも、ストック型の積み上げていく商売をしたいといつも考えています。

 

「学術論文みたいだけど面白い」「小難しくてよくわからない」と両極端なご意見ご感想を頂戴しております、こんにちは、東京小金井で外断熱・涼温な家を建てる工務店、黒柳建設のWEB担当/システム管理者/営業/現場監督/アフターメンテナンス/OB顧客様係の黒柳一聡です。

前回の続きで「空間ストック活用型住宅」を解説したところ、今回も小難しくなってしまったお話です。 
もう何回かはこの話で引っ張れるかな?と思いましたが、そもそも、うまくまとまるのでしょうか。 
 
 

空間ストック活用型住宅とは?

さて、空間ストック活用型住宅とはいったいなんのことを指しているのでしょう。まずはそこからお話しなければなりません。
 
体系化させるために必要なことは、名前、コンセプト、定義です。そのうち名前とコンセプトは既に考えましたので、次に必要なのは、言葉や概念の定義です。
ややアカデミックかつコンサルっぽい考え方なのですが、言葉や概念の持つ意味を共通にしておかないといけません。建築基準法だって序章は言葉の定義から始まります。
 
言葉の定義は2つの言葉についてです。
すなわち「空間ストック」とは? 「空間ストック活用型住宅(ストック住宅)」とは?
おそらくこの2つの言葉の説明だけで、察しの良い方は自分が言いたいことがわかると思います。
 
 

空間ストックの定義と具体例

※定義:空間ストック
主にその住宅の所有者以外の使用者(または利用者)が居住を含む様々な用途に使用できるよう設定された(設定した)空間。
一時的・限定的な期間の使用、かつ使用者とその用途の更新がなされることを前提とし、改修を容易ならしめる拡張性・可変性を必要とする。

※定義:空間ストック活用型住宅(ストック住宅)
前述の空間ストックを活用し、自家用、収益用、公共用などあらゆる使い方(住まい方)に対応可能なポテンシャルを持つ住宅、もしくは対応している住宅。

 

ここで、住宅の所有者とはいわゆる建築主(夫婦又は親子)を指しています。
使用者(または利用者)とはお子様や同居親族などのいわゆる被扶養者、借りたり一時利用する意志と権利を持つ人いわゆる賃借人を考えています。

定義だけでは、どういうものかピンと来ないですが、それぞれ具体的に例をあげてみます。
 
 
※空間ストックの具体例
独立後の子供部屋、使わない客間、物を処分した後の物置部屋や書庫など、広すぎて持て余しているLDK、家の所有者以外の居住者(所有者の子どもや両親)が過去現在使っている場所、その他現在または将来使う予定がない(なくなる)部屋やスペース、書斎、浴室、トイレ、洗面など、住む人のいなくなった別世帯スペース、使われなくなった自宅併設の店舗・事務所、賃貸併用住宅の賃貸アパート部分(入居中も含む)
 
※空間ストックの活用例
自家使用:趣味室、小商い用スペース、自営業スペース、独立開業用スペース、二世帯同居用スペース、新規子ども(孫)部屋
収益使用:賃貸物件、各種アパート、事務所、店舗、倉庫、駐車場、貸しスペース、自動販売機・コインランドリースペース、民泊用居室、下宿、寮など
公共使用:地域コミュニティ拠点(ボランティア、NPOなど)、カルチャースクール、学習塾、教育関連、医療、福祉、支援施設、スポーツ、武道、メディアなど
娯楽使用:趣味サークル、集会場、グループ拠点、合宿所、パーティールーム、ホームステイ、国際交流、民泊用居室など

その他、アイデア次第で活用例はいくらでも考えられます
 
例の方は思いつくままに列挙してみました。
前代未聞なものもあれば、工夫次第では実現しそうなものもありますし、意外と需要がありそうなものもありました。
 
 
空間ストックの活用とは
ここでお伝えしたいことは、空間ストックの有効な活用とは一体どんなことかについてです。
空間ストックとは簡単に言うと、住み方や家族形態の変化によって生じる空きスペースのことです。
 
そのままでは単なる空き部屋や荷物置き場にしかなりませんが、空間のストック(備蓄・資産)と捉え有効に活用することで、新築時には考えていなかった新たな活用法を考え、価値を再発見し、新たな価値を与えて生まれ変わらせることができます。
 
既存の住宅にある空きスペースは使い方次第では収益を得たり、皆様の生活の質を向上できる大切な空間ストック(備蓄・資産)です。有効に使えていないということは、無駄に空間を貯めこんでいるのと一緒です。
 
黒柳建設ではこれまでいろいろなことを考えて皆様の家を設計して建ててきました。将来、改装や増築しやすいように構造材の位置を配置したり、配線や配管を切り回せるようにしたり、設備を更新しやすいようにしたりと、将来工事をしやすいように工夫してきました。しかしそれを皆様にうまくご説明する言葉を思いつかず、ご要望があった時に対応するだけに留まっていました。
 
しかし今回のお2組の工事を通じて、住宅の空きスペースを有効に活用する一つの方策が見えて来たように思います。
空間ストックを発見し、新たな価値を与え、有効に活用すること、これは今後来るべきストック循環社会(ストック型社会)へ適合する考え方だと思います。
このような空間ストックを持った住宅(ストック住宅)をどうやって活かしていくか、またその活かし方をどうやってお伝えしていくか、そのことをしっかりと考えながら家づくりに励んでいきたいと思います。
 
 
 
ストック住宅構想を思いついた経緯
お二方の増改築工事が完了し、新築と同様に建物のお引き渡しを無事に済ませ、喜んでもらえるいい仕事ができたと一息ついてからふと考えました。
 
「今回はたまたまお施主様の方からこうしたいというご要望があったので、スムーズに話が進んで形になっていったけど、ほとんどのお施主様はそんなことを考えたことがないのかもしれない。いやそもそも、そんなことができるかどうかなんて知らないのかもしれない。それもそうだ、知らなければ要望も希望も、クレームだって出るわけがない。」
そのことに気付いたのです。
 
新築で建てる時にはあれだけ要望をお聞きして、どんなメチャクチャなアイデアも検討の俎上に載せたのに、その後時間が経ってお施主様の要望希望自体が変化しているかもしれないことを失念していたのです。
これは大変迂闊なことでした。メンテや修繕を通じて不具合や気になる点の改善についてはなんとか対応できていたと思っていましたが、プランや間取りがフィットしなくなってくるほどの住み方の変化については、全く考えを巡らせていなかったのです。
 
お子さんが成長し独立する。もしくはお子さんが家族を連れて同居するために帰ってくる。もしくはご自身の親世帯を引き取ったり、介護が必要になってきたりする。年月が経てばどなたにも当たり前に起こり得ることだったのです。今回のお二方の件はそのことに気づかせてくれたのです。
 
 
 
お客様への伝え方の課題
また、A様に改めてお話を伺ったところ、家を建ててもらった黒柳建設にリノベーションのためとはいえ一旦家を壊させて(解体・撤去)、また作り直させるのはどうかと思って当初は別の会社に頼もうかと思っていた、という心情をお話し頂きました。
 
そのお話を聞いて、家を建てさせてもらった黒柳建設のことを気遣って頂いてありがたいなあという気持ちが湧き上がり、同時にそういった場合のことをきちんとお伝えし切れていなかったなあと感じました。
 
工事の内容については通常の増改築の範疇ですので、余剰スペースを空間ストックと捉える考え方をうまく伝えられるかどうかで、お客様の受け取り方はまったく異なってきます。
 
 
 
次回予告
今回は空間ストック活用型住宅(ストック住宅)構想のコアの部分をご紹介致しました。
この構想に至るきっかけとなった2組のお客様の事例については、次回にご紹介させて頂きます。