国策をフォローする工務店の立場で感じること③
自社のホームページ内のブログ日記には予約投稿機能が無くて不便です。
関係省庁との連携深まる(一方的ですが)
国策をフォローするにあたって関係省庁の情報収集は欠かせません。建築住宅業界の所管行政庁と言えば国土交通省ですが、近年はその他の省庁からも助成事業が出ているためホームページを見る機会が増えました。4省1庁との取り組み(一方的な片思いです)
長期優良住宅や認定低炭素住宅の普及促進事業は国土交通省。木材利用ポイントは林野庁。賃貸住宅の省CO2先導事業などは環境省。ざっとこれだけで4省1庁です。これだけの省庁と共同で事業にあたっています(盛りすぎ)
ま、まあ、事業の助成や補助金の実績が豊富です、くらい言ってもバチは当たらないかもしれません。インターネットを使いこなしているといつから錯覚していた?
インターネットの恩恵で法律の原文から公募要領まで簡単に手に入れられるようになり、情報収集は凄まじく便利になりました。その反面、発表から締め切りまでの時間が非常に短いことも多く、第一報をいかに早くキャッチできるかがカギになりました。これらの情報収集にFacebookが非常に活躍しているのは前回書いた通りです。他にも都道府県や市区町村単位で実施している助成事業もあり、特に長期優良住宅・認定低炭素住宅の申請先は地域の建築主事なので、そちらも定期的に見ています。でもちょっと市区町村レベルまでは手が回りきっていません。
国政・地方行政・群雄割拠
このように住宅業界には様々な国策がひしめいており、少々、いやかなりわけのわからないことになっています。かと思えば住宅エコポイント事業のように3省相乗りの大型事業を実施したりと、何がやりたいのか見えにくい部分があります。単年度がネック
またこれらの事業のほとんどが単年度事業であることも悩みの種です。よく国の事業は3期3年がワンセットだと言われていますが、年度予算が確定するまでは机上の空論です。概算要求をする段階まできますと、ほぼ確定だと言われておりますが、実施の時期や締切期間なんかは実際に開始されないとわかりません。つまり、めちゃくちゃ振り回されているのです。
酸っぱいブドウは正しかった?
予算なくして事業なし、と官公庁では言うみたいですね。でも正直ちょっとしんどいです。これなら前回のすっぱいぶどう理論もあながちハズレではありません。商品と書類、両方は問題がありません。しかし肝心要のお客様のタイミングを合わせることがいまいち難しいのです。この辺はどうにも攻めあぐねてます。補助金もらえるからすぐ契約してすぐ建ててしまいましょう、とは言えませんし。注文住宅のように、じっくり腰を据えて、いい物を作りたいという場面では若干不向きである事は実感としてあります。その代わりに得たノウハウが重要
ただ、逆に良かった点も大きいです。
これらの制度を利用する住宅の満たすべき要件は、大元が長期優良住宅や平成25年度省エネ基準にあり、黒柳建設では既にその住宅の仕様を持っており、各種書類の書き方も理解していますし、必要な認定書や性能証明書なども一式揃っています。細かな仕様を微調整して適合させ、後は公募要領を読み解いて書類を書くだけでほとんどの制度に対応ができます。だから結構気軽に「やりません?」と提案ができます。「できる?」と聞かれても、即答で「できます!」と確信をもって返答できます。なあにかえって免疫が付いた
申請関係の書類は実際に手を付けてみないと、その食わず嫌いは治りません。その点、すでに食わず嫌いは克服しているので、分厚い書類にも耐性がついています。積極的にチャレンジすることで実績にもなり、できることが増えていく喜びを知ったので、これは大変前向きな変化です。つい先日、COP22他が閉幕し、日本もパリ協定を順守するために、より具体的な計画を求められています。これは、当然私達住宅業界へも誘導措置やいずれは規制がかかってくることを意味しています。もう数年で、平成28年度省エネ基準の義務化が迫っていますが、世界はより早い速度で動き出しています。2020年に実質平成13年度基準相当の平成28年度基準を達成する程度では、こうした動きからまったく取り残されてしまいます。より高度な省エネ、より効果的な断熱を目指しつつ、 私達が大切にしている「住み心地」を追求していかねばなりません。地域の断熱改修を担う工務店として
また合わせて、9割以上が不適格となる既存住宅についても、私達のような地域の工務店が積極的に改修に乗り出さなければなりません。実際、2012年冬のドイツ視察では断熱改修事業の骨子を学ぶことができました。恐らく日本でも近年の既存住宅の活用に伴い、断熱改修を国の事業としてもっと大々的に進めていくと予想しています。そんなとき、2000年初頭から高気密高断熱住宅の新築を手がけてきた工務店こそが、実績と経験を持つビルダーとして地域に貢献できると考えています。新築需要の先細りが懸念されていますので、今のうちからしっかりと手をつけておけば、先行者のスタートダッシュで独走が可能ではないかと事業化に向けて構想を練っています。この辺りのお話も是非そのうちに。