外断熱の注文住宅を建てる建築会社2代目の頭の中

住み心地とか、住む人の健康とか、家族の安心安全とか、大きな資産とか、喜び感謝クレームとか、様々に満ちている業界で色々と考えています。地域のため、日本のため、世界のため、御施主様のため、社員さん職方さん業者さん大工さんのため、自分だけにしかできない事がどんどん増えていく毎日は刺激的です。

工務店のIT活用術を模索する

今回は表題の通り、IT化が遅れに遅れている住宅建築業のIT活用についてです。え、今はIoTって言うのが主流なんですって?まあまあ、まだ私達はこの方がしっくりと来るんです。

今回の記事は導入だけですので、いずれ経過をお知らせしたいと思っています。

まずは簡単に自己紹介

私は大学で土木工学を学び、情報系の研究室で当時流行っていたe-learningのデータベース構築と活用について卒業論文をまとめました。

ちなみに土木を専攻したのは建築学科に受験で落っこちたからです。理科大、日大、工学院、明治、早稲田、あらゆる建築学科に落ちました。(唯一芝浦工大だけは受かったのですが、なぜか行きませんでした)
大学で建築を学んでいれば今とは色々と異なった考え方をしていたのかもしれません。

一般的に土木は土方と混同されやすいのですが、社会基盤を建設・運用・維持管理する非常に幅の広い分野です。
土質・水理・構造などの自然科学、施設を利用するための人間工学、大規模な面に渡る都市計画や交通計画、生態系を包括する環境工学、港湾・橋梁・道路・トンネルなどの各専門分野、景観空間デザイン、情報処理、などなど土木を構成する学問は多岐に渡ります。
手前味噌ですが、人間が生活するために必要なマクロのインフラは全て土木工学の分野だと思っています。ミクロでは機械や情報、そして住宅がありますが、これらは全て既存の社会基盤の上に成り立っています。

そんな学科で学び、何故花形の計画系に行かず、情報系の研究室に所属したかと言うと、これからは情報系がますます伸びて行くだろうと予想したこと、土木・建築分野への活用が大きな変化をもたらすと思えたこと、あと単純に研究室の先生が好きだったからです。
そのおかげで初歩の初歩のプログラミングや画像処理、データベースの構築、WEBの分析などができるようになり、卒業論文は学会発表もさせてもらいました。

 

青焼き!?ファックス!?WindowME!?(当時2005年)

研究室でパソコンばっかりいじっていた一年を過ごし、先生との連絡は全てメールでやりとりし、予定はoutlookで管理していた一年が終わり、晴れて働き始めて直面した一番のカルチャーショックが住宅建築業界のあまりのアナログさでした。

図面こそCADで書いていますが、製本図面は青焼きで複写し、業者さんとの連絡はFAXが基本、打ち合わせは現場で現物を見ながら行い、割り当てられたパソコンのOSはあの悪名高きWindowsME。(当時2005年)
そのパソコンも業務日報を書くのと施工報告書をエクセルで書くくらいにしか使いません。

まあこの業界はそんなもんだと5年の修行期間が明け、黒柳建設に入社した時に逆に一番びっくりしたのが業者さんとのやり取りにメールを使っていること。
それだけでもう「おおっ」とか思ったもんです。
これは別に黒柳建設が特別進んでいるわけではなくて、単に業者さんが少ないからメールでのやり取りをお願いするハードルが低かっただけなんですけどね。
ちなみに修業先の会社さんは私が移籍してから急速にIT化を進めたようで、今では現場監督全員がiPadを持ち、図面を全部その中で管理し、連絡や現場報告は鍵付きのTwitterで行い、スマホGPSで何かあってもすぐに近くの社員を向かわせられるといった大変先進的なスタイルになっているようです、素晴らしい、羨ましい、ぐぬぬ

翻って我が黒柳建設では、常時現場に出ている監督は2人程度、現場報告も電話で事足りてしまうので、まだそこまでしなくても良いかなと・・・・と思っているうちに、結構時間が経ってしまいました。
現状では個別に様々な工夫をしているので、少し様子を見てから一気に職人さんまで巻き込んで導入したいと考えています。幸い時代の流れで大工さん職人さんもどんどんスマホ持ちになってきていますし、グループミーティング系やスケジュール管理系のアプリもたくさんあります。
あとはどうやって一斉にインストールするか、してもらうか、使い方を覚えてもらうかです。

 

利便性と危険性の板挟み

さて、そのアプリですがどんな物が良いでしょう。
メール、LINE、Twitterなどのコミュニケーションツールは画像やPDFファイルも送れて便利なのですが、いかんせん他にも使うので黒柳建設からのメッセージが紛れ込んでしまう心配があります。
facebookGoogle+などのクローズなSNSはアカウントを取って使いこなすまでが結構面倒くさい上に、既にプライベートで使っている場合は混同しがちです。これは情報漏洩の危険性も考慮しなければなりません。
両方とも専用に端末を用意すれば良いのですが、残念ながらそんな資力はありません。あと多分私物よりも雑に使われちゃったりして壊されます。私ならそうです、会社支給の物ってなかなか大事にしませんしね。
そうなると個人のスマホに導入できて、かつ黒柳建設でしか使わないアプリが望ましいです。また、図面や案内図はプリントアウトして使いますから、PCとも親和性が高いもの望ましいです。
そうなるとEvernoteDropboxなどの仕事効率化アプリも視野に入りますが、複数人での使用には適していないように感じます。


そうだよ、チャットワークがあった

PCとスマホタブレットとプラットホームを選ばずに利用でき、社内と社外に使い分けが可能で、ファイル共有やスケジュール管理が可能なアプリ。

そういえば、1つだけ心当たりがありました。
iPhoneTwitterで会社は儲かる」という本を書いた旧社名EC studioがもう5年ほど前にリリースしたチャットワークというアプリです。
実はこの本、著者の山本敏行社長にサインをもらったんでした、どこかの展示会で。大変気さくな方でした。
リリース当時に案内のメールが来ていて、概要だけ読んでそのままにしていたのですが、あれからどうやら順調にユーザーを獲得しているようで、導入事例には黒柳建設のような工務店のケースもありました。

これはちょっと気になります。
早速、iPadにインストールしなおして(リリース直後にインストールだけして、そのうち邪魔になって消してました)、試用試験を開始しました。
おそらく導入には大変な抵抗勢力が予想されますが、まあまずは社内から始めて、そのうちに使用説明会を開きますかね。

 


え?
ガラケーしか持ってない人はどうするのかって?
大丈夫、今はお爺ちゃんお婆ちゃん向けのスマホもあるから。