お客様に自由にブログを書いてもらうには[前編]
ブログはいまさら新しいツールではないのですが、情報発信ツールとして完全に定着したよな気がします。長文をグイグイ読ませるブログもたくさんあり、出版社の目に止まって書籍化されることも珍しくありません。
来週末に聴講する「これからのリフォーム店・工務店を考える勉強会」(朝日ウッドテック主催)の事例発表にエントリーするための資料作りをしています。動機は主に「褒めてもらいたい」からなのですが、こうした「外化(がいか)」をすることで、学びのスピードと深さが格段に高まるとされていることを実感しています。
お客様ブログ「家づくり日記」
黒柳建設の家づくり日記(http://kuro-yanagi.net/)という外部サイトがあります。
もう8年も前に立ち上げた、お客様のお客様によるお客様のためのブログ日記です。
昨今ではfacebook、Twitterといった手軽なソーシャルメディアからLINEへとクローズなメディアへ移行しつつありますが、まだまだブログにはオフィシャルな情報発信の役割が残っています。
当時、お客様に家づくりの思い出をせっかくの機会ですし自由に綴ってもらおうと、黒柳建設が場を用意して書いていただいていたものです。
約3年間で15組のお客様に日記を書いて頂き、ブログ上でのやり取りを私たちも楽しみにしていたのですが、途中で東日本大震災がありなんとなく自粛ムードになってしまい、そのままなんとなく途絶えてしまった非常に残念なコンテンツです。
なんだよ、また「残念」話かよ、とか言われると泣いちゃいます(笑)。求む!復活の呪文の使い手
幾度か復活を試みたのですが、世の中がSNS全盛期という風潮に変わってしまい、今に至っています。どなたか復活へのアイディアがありましたら、是非お知らせください。このまま埋もれさせてしまうには、あまりにも惜しいもので。
復活の呪文(ザオリク・リジェネなど)を使えるレアスキル持ちをクロケンのギルメン一同は心待ちにしています。
ちなみに、そのへんのあがきは「後編」で述べたいと思います。日記はオムニチャネル?
さて、こちらの家づくり日記を作った経緯ですが、当時まだうまく言語化されていなかったオムニチャネルの考え方が近いと言えます。
※オムニチャネルとは、お客様の持つあらゆるチャネル(経路)から商品を購入できるように流通経路を繋げる小売戦略の名称で、具体的には店頭でもネットでも同じ商品が同じように購入できるよう販路を統合したサプライチェーン全体を指してこう呼ばれます。
最近ではセブン-イレブンが「オムニ7(セブン)」として、セブン&アイグループ全体を活用したサービスを展開しています。
いや、物は売りません
別に黒柳建設がありとあらゆる販路で物販をするのではありません。
電話とメールと直接訪問くらいしかお客様との接点が無かったコミュニケーション経路を増やし、ちょっとしたやり取りを気軽に・楽しんで行えるようにしたかったのです。
直接だとなかなか汲み取りづらい様々な要望を、日記という形で教えて頂くことにより、お客様にご満足頂けるサービスを提供できるようにしたいと考えました。
通常のオムニチャネルの考え方とは逆に、お客様よりあらゆるチャネルでコミュニケーションを取って、ご要望やご意見を汲み上げることが第一の目的です。
これはまずまずの効果がありました。
「思ったこと、感じたこと」を自由に書いて頂くというスタンスで、お客様と想いのやり取りを大事に育んでいきたいという気持ちでせっせとやり取りに励みました。
継続しなかった、という一番のポカから目を背ければ、当時は非常に多くのやり取りをお客様との直接できましたので、狙いは大成功と言えます。継続できませんでしたが。お客様の生の声
またお客様による家づくり日記は副次的な効果も期待できました。
第一の目的がお客様の想いの汲み上げでしたが、裏を返すとこれほど加工されていない「お客様の声」はありません。
Webで公開され、会社のホームページからもリンクを張っていますので、どなたでも見ることができます。お客様が日記を書き、私たちが返事のコメントを書くというスタイルでしたので、そのやり取りも全て見られます。個人情報に配慮していますが、やり取りの空気がかなり親密さを感じられて、黒柳建設の雰囲気が伝わる良い内容だと思います。
「家づくり日記見てるよ」と誰かから直接言われたことはほとんどありませんが、見られた方が不愉快になるような内容にはなってはいないはずです。
どんな業種のどこの会社も、お客様の声を頂くことは非常に重要です。
そのためにアンケートやお客様訪問でインタビューなどをしているのですが、どうしても嘘くささや加工の跡が感じられてしまいます。
その点、お客様が自由気ままに書くことができるブログ方式や掲示板方式はより生の声に近く、信頼性が高いように見られるといいなあとちょっとした下心もありました。
もちろん大クレームを頂いたり、荒らされたりする心配もあるため、お客様との関係に絶対の自信がない限りはできないように思えます。
しかしそれでは提灯記事を書いてもらうのと変わりありません。
良い事悪い事合わせて、お客様の思った事感じた事を伺いたいと本気で思わないと出来なかったように思います。
次回はも少し細かくいやぁ、立ち上げて数年は上手く回っていたのですが、どうしてこうなった!
その辺の話
と昨今のSNSになぜ移行しなかったのかの話などは、次回に持ち越しです。