現場見学会と近隣チラシ配り[前編]
先週末に行った現場見学会に向けたチラシ作戦と見学会作戦の内情です。
あれこれと考えて詰め込んでみましたが、果たして結果はどうなったのでしょうか。
数年前から現場見学会をほぼ毎現場で行っているのですが、特別な集客活動は行わずホームページでの告知や打ち合わせ中の方をお連れするだけでしたが、今回から近隣へのアピールを始めました。なんというか今更感もありますし、「始めました」とかっていちいち報告することでも無いと思うのですが、一応狙っていたような感じになったのかな、と思いましたので記録の意味も込めてブログ日記にまとめました。一連の戦術と顛末について考察します。前編は近隣に配ったチラシについて、後編は見学会の内容についてです。ノボリが立っている以外は、ほとんどいつもと変わらない見学会の様子です。チラシ初心者です黒柳建設
こんなことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、実は今までチラシ撒きや新聞折り込み広告などはほとんどしたことがなかったのです。建売時代やバブルの頃は他に方法がなかったと言うこともあり思いつきでボチボチやっていたようです。それから外断熱を始め、ホームページで集客できるようになってからはぱったりと途絶えていたのです。それに昔からチラシで集客していた工務店さんや不動産さんなどに聞くと、最近は全然チラシでお客様が来てくれないと言う嘆きの声を聞きます。その反面、エリアを絞って集中的に手配りしている知り合いの大工工務店さんや友人の塾経営者からは、チラシをちゃんと考えて打てば反響はあるよ、と教えてもらいました。そんなわけで、だめでもともと、とにかく実践して経験値を得ようと言うことになり、いろいろ考えてチラシを配ってみたところ数件の問い合わせや当日の来場があり、劇的な成果というわけではありませんが、確実な成果に感慨ひとしおです。もちろん問い合わせがあった事はとてもありがたいことなので、内心嬉しくて嬉しくて仕方ありません。今回、こんな事を考えてチラシ配りに精を出したので、結果が出てくれたという事は仮説がある程度正しかったとも言えます。クラウゼヴィッツの戦争論に学ぶ見学会とチラシ戦略
何のためのチラシなのかを明確にする
思いつきでチラシ配布を決めるとチラシ配りだけが目的になってしまい、結局何の成果も挙げられないことが一番の心配としてありました。最終的な目的は受注に結びつくことなのですが、チラシ一枚読んで家を買おうと決断する消費者なんてまずいないでしょうから、入り口、誘導、アクションなど様々な仕掛けを収束させる目的を設定する必要があります。今回は「見学会への誘導」を目的にチラシの作成から配布に関する施策を組み立てました。反響期待値は千3つ
一般にチラシの反響率は0.3%、3/1000と言われているようです。何を持って反響数とカウントするかは業種業態によって異なるようですが、今回は見学会の参加人数をメインの目標値、問い合わせや何らかその他のアクションをサブの目標値に設定しました。目標の反響率は上記の千3つ、0.3%以上です。まずは1000枚のチラシにつき3件の反響が得られるかの検証です。読まれるチラシ紙面
ポスティングによるチラシや新聞折込チラシを取捨選択する判断時間は1秒にも満たない一瞬で決まると言われています。手に取った瞬間には捨てるか読むかを判断しているというのです。言わばその僅かな時間でチラシ配りの労力が報われるか徒労と化すかが決まるわけです。それこそ二重の極みを叩き込む刹那の拍子に匹敵する瞬間で、グイっとこちらに向けなければなりません、超無理ゲー。そのため、その瞬間に「ん?なんだこれ」とぐっと思わせて、「どれどれ」と中身を読んでもらえるための紙面とするにはどうすればいいのか、これがある意味このチラシ戦略のキモでした。チラシのA/Bテスト
ホームページのキャンペーンページやチラシ広告でよく使われる検証手法であるA/Bテストによる反響数測定を行いました。複数種類の広告を同条件の別グループにぶつけてどちらが効果が高いかを検証するテストです。前述の読まれるチラシを作り込んで反響があっても、果たしてチラシの効果によるものか単に地域特性によるものかがハッキリとわからないからです。今回は単純に現場の東と西でエリアを分けて、それぞれに別のチラシを撒くことにしました。それっぽいAチラシとニヤリとさせるBチラシ
A/Bテスト用に2種類のチラシを用意しました。Aチラシは建築屋っぽく建物の性能や工法について説明して、ご近所でこんな工事をやっていますよ、とご紹介をするスタイルです。カラー写真を多用し、断熱材や制震装置のスペックをアピールするよくある構成です。テンプレをアレンジしましたので見栄えに難があるわけではないですが、多分読む気はそんなに湧き立たないと思われる、よくあるデザインです。ハッキリ言ってこっちは当て馬です。Bチラシは敢えて対極を狙い、モノクロで、文字ばかりのレイアウトとしました。毎日大量にポスティングされるチラシの中から少しでも目立つように、白黒の紙面が浮き上がってくる効果を期待しました。もちろんこちらが本命です。文面も売り込み文句を極力排除し、自虐ネタやあるあるネタ、変わってて面白そうと興味関心を引くことを第一に、ただでさえセンスがない頭を絞って考えました。ふたつのチラシを並べて見ると、とても同じ会社が同じ時期に配っているチラシには見えません。AチラシとBチラシの比較は最後の方に写真で載せてみました。配布エリアの絞り込み
練馬区の現場でしたので、その近隣で工事が頂けたら最高にありがたいお話です。また今回は初回ということでデータ収集の意味合いが強く、自らの足で回り手で配ることが重要だと考えました。そこで現場のあるご町内のみに限定し、見学会の案内にもプレミアム感を持たせることにしました。ただでさえ来場者が見込めないのに、プレミアム感なんて勿体ぶりもいいところですが、そこはグッとこらえ特別っぽさを出すことを優先しました。広く浅く薄くより、狭く深く厚くで濃厚な需要喚起に望みをかける、戦力の選択と集中です。配布頻度と習慣化
一度チラシを撒いただけで結果が出てくると期待するほど楽天的ではありませんが、配ったのに結果が目に見えないというのはモチベーションの低下につながります。配っても配っても反応が無いという無限地獄へ立ち向かう不屈の闘志は残念ながら持ちあわせておりません。そこで、着工直後から定期的に配布し、自分たちもある程度チラシ配布を習慣化することとしました。新聞折込チラシが集中する週末に合わせて、早朝と夜に配るようにしました。週末になったらチラシ配り、ポケモンGO!でもやりながらウォーキングすると思えば一石三鳥じゃないか。(結局、チラシで両手がふさがっているのでポケモンGOはできませんでしたが)また、日中は他のチラシと一緒くたになってしまいそのまま捨てられてしいそうでしたので、朝刊と一緒になるように早朝と深夜にしたのです。(通報だけはされないように細心の注意を払いましたが、新聞奨学生時代の経験が活きました)アクションボタンのセット
いかにもっぽいAチラシには少しでも下駄を履かせるべくアクションボタンをいくつかセットしました。基本的に見学会への集客を目的としているのですが、書籍無料プレゼントやセミナー・相談会へのお誘いなどハードルを下げてファーストコンタクトのハードルを下げる工夫をしてみました。他にもQRコードや検索キーワード、応募抽選と言ったオムニチャンネル化も検討の余地がありそうです。仮にアクションボタンが押されたら、そのボタンを次から本命Bチラシにも搭載すれば良いのですから、アクションボタンの検証もできると踏みました。今のところ、結果は芳しくありませんが。興味関心のスイッチ
チラシを作って配るという側に回った瞬間、なるべくたくさんの人に自分の言いたい事を正しく伝えなくては、という思い込みに心が支配されてしまいます。いわゆるマスのマーケティングでは間違いではないのでしょうが、住宅営業のようにパーソナライズ化されたニーズを拾い上げる業種ではターゲットによって興味関心の対象も温度も全く異なります。それこそ一人一人に合わせた対応が必要になります。そういう意味では相手を値踏みしてトークを使い分ける訪問営業は古いやり方ですが実に理にかなっています。しかしチラシでそれをやるわけにもいきませんので、私たちがまさに願う潜在お客様層の興味関心は何処にあるのかをひたすら考えて、確実にスイッチを押す方法をチラシで実現しなくてはなりません。そのためには1を取るためには残りの99を相手にしない戦術を取ることも戦略上は有効です。その場合、残り99に向けた労力は全くに無駄になりますが止むを得ません。誰でもいいから読んでくれ、という気持ちが透けて見えるようなチラシでは100を相手にしているようで、実は誰の心にも届かないのです。なかなかこのように割り切るのは難しく、あれもこれもと詰め込みたくなるのを抑えるのに苦労しました。このような事を考えて盛り込んでチラシ配りを行いました。
結果はと言うと、問い合わせからの来場、フリーでの来場、打ち合わせ中のお客様の自発的な来場とどの項目も期待値以上の来場者数となりました。合計で二桁くらいの数ですが、今までの見学会のように無戦術ではなかったため、一定の成果と言えそうです。見学会のようなイベントはそれ自体で集客をする集客装置ではなく、イベント開催までにどれだけ集客できるかが勝負だとつくづく実感しました。え?クラウゼヴィッツはどこかって?
AチラシとBチラシ比較
Aチラシ
Bチラシ
反響率はAチラシ0.1%、Bチラシ0.4%